ゴロゴロ大師 岡山市兼基 2008/04/30
臨時の修験道祈祷所
「鳥坂山ゴロゴロ大師」は操山山系の中腹,恩徳寺と里山センターより山一つ距てた東方の谷にある.
祠の石の穴に頭を突っ込むとごろごろと聞こえる伝承など諸説があると里山センターの方から聞いた.
寺のあった場所は私たちの生活圏の近くなのですぐ辿り着いた.静かな環境の下でひと時を過ごした.
お堂がポツンとあるだけ,寺院の伽藍に相応しい普請は行われていない.参詣は今も続いている様子.
ゴロゴロ大師に人びとが殺到し「関」が「大師」と改称されたのは,1916年(大正5年)である.
大正デモクラシーの運動が盛んになっていく時代に健康を求める人びとの関心は祈祷師にも向かった.
現世利益を求めた大師詣では一過性の流行に終わったが,駅名は鉄道の廃止(1962年)まで残った.
積年の疑問「大師」はゴロゴロ大師かもしれない.そのような予感を得て,新緑の山道を引き返した.
西大寺鉄道の後楽園~財田~長利を走る気動車や山陽本線の列車が操山の山稜から眺望可能であった.
当時は駅の周辺に集落が点在するだけで,現在ではそのような田園風景は想像できないくらいである.
西大寺鉄道大師駅が指すものが当時どこか知らなかった.鉄道廃止後半世紀近く経って疑問が晴れた.
高校の時の疑問がひとつ解けて得したような一日であった.他人にとっては何でもないことではある.
操山 : みさおやま 岡山市街の東の山 岡山駅の正面に位置する山
西大寺鉄道 : さいだいじてつどう 1910年~1962年 後楽園~西大寺市 11.4km